【 労務相談の窓口からQ&Aより 】

Q固定残業手当を欠勤控除の対象としてもよいか?

当社では、月 20 時間の時間外労働に相当する額を固定残業手当として支給することを検討中です。

固定残業手当は、残業があってもなくても支給し、実際の時間外労働が月 20 時間を超えた場合には、
超えた時間分について、別途時間外労働手当を支払います。

そこで、固定残業手当を支給することとなった場合の欠勤の取扱いについてお聞きします。

現在、欠勤の際、基本給から欠勤控除を行っているので、固定残業手当についても同じように
控除の対象に含めたいのですが よいでしょうかよいでしょうか。

また、注意すべき点などあったら教えてください。

 

A: ノーワーク・ノーペイの原則により、労働しなかった日や時間については賃金が発生しないこととなりますので、不就労分の賃金を控除するという取扱いはよく行われています。

欠勤など不就労日(時間)分の控除を行う場合、就業規則に、どのような場合に控除するのか
(欠勤だけなのか、遅刻、早退も控除の対象とするのかなど)、
そして控除の対象となる賃金など計算方法を定めておき、その定めに基づき控除します。

固定残業手当についても、欠勤控除の対象とすることは可能と考えますが、
その場合は、就業規則に固定残業手当を欠勤控除の対象とすることや、
控除する場合の計算方法を明確にしておきましょう。

ただし、欠勤控除された後の固定残業手当は、月 20 時間分の時間外労働手当とは
ならないことに注意が必要です。

ここで、ある対象月に、欠勤が何日かあり、実際の時間外労働が 20 時間だったケースで
考えてみることにします。

まず、欠勤があったので、就業規則の定めに基づき、固定残業手当から欠勤控除を行います。

この対象月の実際の時間外労働が 20 時間ちょうどであれば、
本来は、固定残業手当を支払うことで足りるわけですが、欠勤控除を行ったことにより、
控除後の固定残業手当は時間外労働 20 時間相当ではなくなっています。

つまり、欠勤控除後の固定残業手当を支払うだけでは、本来支払うべき時間外労働手当が
支払われておらず、未払いが生じることになります。

したがって、固定残業手当から欠勤控除を行った場合には、実際の時間外労働手当の額と、
欠勤控除後の固定残業手当の額とを比較し、実際の時間外労働手当の額が、
欠勤控除後の固定残業手当の額を超える場合には、別途差額を支払わなければなりません。

また、固定残業手当から欠勤控除を行った場合には、実際の時間外労働が月 20 時間未満であっても、
別途差額の時間外労働手当を支払わなければならないことがありますので注意が必要となります。

このように、実際に固定残業手当から欠勤控除を行うと煩雑になることから、欠勤控除をせずに、
給与計算期間の全期間を休んだ場合のみ固定残業手当を支給しないとする取扱いもみられますので、
そのあたりも考慮して検討された方がよいと考えます。

 

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