Q.年次有給休暇を取った月も皆勤手当を支払うべきか?
当社は、皆勤手当として月額 5,000 円を支給しています。年次有給休暇を取得した場合、実際に勤務しているわけではないので、皆勤手当を支払わなくてもよいと考えていましたが、問題はありますか。
A:
皆勤手当を支払わなければなりません。皆勤手当は、従業員の遅刻・早退・欠勤を予防することを目的として、賃金計算期間の勤務が無遅刻・無欠勤だった従業員に支払われる手当です。
「皆勤手当」や「精勤手当」「精皆勤手当」などの手当名で支払われていることもあります。
貴社のように、賃金計算期間の間に年次有給休暇を取得した場合、実際に勤務していないため、皆勤手当を支払わないとすることは、一見、問題がないようにみえます。
しかし、労働基準法では、年次有給休暇を取得した労働者に対し、賃金の減額その他不利益な取扱いをしてならないと規定しています。
なぜなら、年休を取得することによって労働者に対し不利益な取扱いをすれば、年休取得が抑制されてしまい、年休取得の本来の目的である心身の疲労回復や労働力の維持培養が図れなくなるからです。
裁判例においても、皆勤手当等の諸手当の全部または一部を「年休を取得した休んだことのある日」を理由にして支給しないこととすることは不利益な扱いとして許されないとしているものがあります(昭51.3.4 横浜地裁判決「大瀬工業事件」)。
以上のことから、年次有給休暇を取得したことで皆勤手当を支払わないとすることは、不利益な取扱いとなることから、貴社は皆勤手当を支払う必要があります。
なお、皆勤手当は必ずしも毎月発生する手当ではないことから、割増賃金の計算の算定基礎となる賃金から除外されていることがあります。
しかし、割増賃金の算定の基礎から除外される賃金は家族手当や通勤手当などに限定されており、皆勤手当は除外される賃金に該当しないため、割増賃金を計算する際には算定の基礎とする必要があります。
また、年次有給休暇は雇入れの日から起算して、6ヶ月間継続勤務し、全所定労働日の8割以上出勤した労働者に対して最低10日を与えなければなりません(労働基準法第39条)。
この有給休暇の出勤率の計算では、次の日は出勤したものとして計算しないといけません。
•業務上の傷病による休業期間
•育児休業の期間
•介護休業の期間
•産前産後の休業期間
•有給休暇の期間
年次有給休暇を取得したときも出勤率に定める、つまり出勤したものと考えることからも、皆勤手当を支給することが必要になると考えられます。
<ワンポイントアドバイス>
慶弔休暇やリフレッシュ休暇、記念日休暇などといった会社独自の休暇制度を設けている場合、社員の皆さんにわかりやすく誤解が生じないように、皆勤手当をどのように取り扱うかについて検討しておくとよいでしょう。
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