◆年金、健康保険、雇用保険の申請手続の一元化を検討
政府は、今春までに行政コスト削減の重点分野を決め、年末までに具体的な計画や工程表を策定する方針を示しました。 重点分野の柱とされるのが社会保険に関する手続で、2割のコスト削減を目標に、ハローワークや年金事務所に別々に申請する手間をなくしたり、許認可に関する申請様式の自治体ごとのばらつきをなくしたりするなど、手続の簡素化に乗り出します。 マイナンバーや住民基本台帳ネットワーク、法人番号の連携により、重複する書類申請の簡素化を検討することが挙げられています。
◆企業の約半数が行政手続に負担感
昨年11月に政府の規制改革推進会議で日本商工会議所が報告した調査結果によれば、中小企業の半数近くが行政手続を負担に感じると回答しています。 上位を占めた分野は、「社会保険・労務」48.6%、「補助金・助成金」48.2%、「税務申告」45.0%の順でした。
◆負担感を感じる行政手続は企業規模により違いも
また、経団連、経済同友会、日本商工会議所の経済三団体による一斉調査も行われ、昨年12月に結果が公表されました。 具体的には、経団連では「調査・統計への協力」の47.8%が最多で、「社会保険」と「従業員の納税に関わる事務」が同率の46.7%でした。 経済同友会では「社会保険」52%、「納税」50.3%、日本商工会議所では「営業の許認可」46.4%、「補助金の交付申請」41.5%の順となっています。
◆住民税の特別徴収手続の見直しも検討
上記の調査結果から、企業が源泉徴収事務にも負担を感じていることが読み取れますが、政府は、住民税課税決定通知書の電子データ化促進を課題として挙げています。 個人住民税の特別徴収のため、企業には毎年5月に全国の市区町村から住民税課税決定通知書が送られてきますが、これを法改正により電子データでの送付を義務化することなどが検討される見通しです。 いずれも、見直しにより手続実務が大きく変わる可能性がありますので、社内業務の合理化のためにも今後の動向に注目する必要があります。
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