◆ 退職金の支払い

年度末の3月が近づいてきました。3月に退職する社員の給与計算で気をつけなければならないのが、退職金の処理です。

役員や使用人に退職金を支払うときには、所得税を源泉徴収して、原則として、翌月の10日までに納めなければなりません。
ここでいう退職金とは、退職したことにより退職給与規程等に基づいて支払われる退職手当や退職金などを指します。

死亡退職により支払う退職金等で相続税の課税の対象となるものは、所得税及び復興特別所得税の源泉徴収は必要ありません。
退職金には、長年勤めた功労に報いる意味から、税負担を軽くするしくみがとられています。具体的には、退職金から特別の控除(退職所得控除額)をした額の2分の1を退職所得金額として課税対象とするものです。
ただし、この特別の控除を受けられるのは、「退職所得の受給に関する申告書」を提出した人に限られます。

 

◆「退職所得の受給の関する申告書」そのまま提出を受けている場合

次の流れで計算します。

1)退職する人の勤続年数の計算

注)勤続年数の期間に1年に満たない端数があるときは、その端数を1年に切り上げます。
勤続年数の期間は、退職の日まで引き続き勤務した実際の期間です。
長期の欠勤や病気での休職の期間も、勤続年数に含めます。

2)退職所得控除額を計算

計算した勤続年数に応じて、次の表により退職所得控除額を計算します。

勤続年数 退職所得控除額
20年以下 40万×勤続年数(80万円に満たない場合は80万円)
20年超 800万+70万円×(勤続年数ー20万円)

  (注)障害者になったことが直接の原因で退職した場合の退職所得控除額 は、上記の方法により計算した額に、100万円を加えた金額になります。

3)(退職金の支給額一退職所得控除額)×1/2

退職金の支給額から2で計算した退職所得控除額を 差し引いた上で2分の1にします。

  (注)特定の役員等(役員等の勤続年数が5年以下である人)に対する退職所得の金額の計算については、退職所得控除額を控除した残額を2分の1にする措置が廃止されました(平成25年4月より)。

4) {(退職金の支給額一退職所得控除額)×1/2}×税率

3の金額に所得税の税率(次ページ速算表)を乗じて得た額が税額になります。

 

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